つわぶき

宝香(たからこう)とは、つわぶきのことをいう。

つわぶきとはキク科 ツワブキ属の多年草で、ツワブキの名は、艶葉蕗(つやばぶき)、
つまり「艶のある葉のフキ」から転じたともいう。根の芳香から宝香とも言われる。

つわぶき1


子どもの頃住んだ家の庭につわぶきが咲いていた。
昭和の地方都市、土地の裕福な子弟の通う小学校には花当番なるものがあって、
その当番に当たる子どもは親に持たされた花束を抱えて登校した。
今思えば、前日親が用意した花屋の花束を持参することに、なんの不思議もないのだけれど、
ひねくれた子どもであった私は、それを潔しとしなかった。
庭にあるつわぶきの花を花鋏で切り取った花束を、みすぼらしいと自覚して持参した。

我家が特別に貧しかったわけでも、我が親が特別に非常識だったわけでもないのに。

当時はその花の名も知らず、いやむしろ、その花に名前などあるとは思ってもいなかった。
ただの雑草だと思っていたのだ。

つい最近、ひょんなことから、その花に名前があることを知った。
みすぼらしいと思っていた花に、宝の香りがひそんでいたとは。




死のみが救いであるとしたら、それまでの猶予期間、
あまりに長く、あまりに短い。

その期間に何ができるか、何が起こるか。

真っ直ぐに死までの猶予を楽しもう。

今はそれだけ。



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