忖度社会

海辺の街の友人の家に小学校時代の友だちが集まったのだけれど、
それぞれに家庭を持ったり、持たなかったり、同じ年月を重ねて、
孫のある人もいて、「孫バナシするようになったのかあー」と、
感慨にふける。

息子のある人、娘のある人、その息子に嫁のある人、息子がバツイチの人、
嫁に出した娘のある人、嫁に行かぬ娘のある人。

今回は女ばかりが集まって、言いたい事言い合って、気楽に愚痴が出る。


私は娘を持たないので、長男の嫁さんとのうっすらとした距離感に戸惑いがある、
ということを話す。
お嫁ちゃんはすごく良くできた子で安心だし感謝してるけど、
自分の娘だったらもっと遠慮なく言ってしまうかもしれない事も、
グググっと我慢して言わずにおく、ということもある。
キャリアを積みたいのもわかるけど、子ども産むなら早い方がいいよ、とは言えない。
「それは自分の娘に対しても同じよー」娘をもつ人が言う。
本音は言えない、言わぬが花、なのよね。


あああ、昔の様に遠慮のない親戚のおばちゃんが独身の身内をつかまえて、
「あんた、さっさと結婚しないと行き遅れるよー」と言ったり、
結婚したら結婚したで
「さっさと子ども作った方がいいよー。
 40過ぎて早く生んどきゃ良かったって思っても遅いよー」
と、情け容赦なく、言葉の爆弾を振りまくことなどなくなって、

なんか、表面はみんなお利口でよそよそしい。


言葉爆弾のおばちゃんがいいと言うわけではないし、
私だって、そういうおばちゃんをデリカシーのないウルサい奴めと思っていた。
生めない事情、大人の事情、人に気安く語れない事情、あるかもしれず、ないかもしれず、
それはわかる。
だからその辺、こちらも当たらず障らず。
疲れることこの上ない。


美人に美人と言っても、ブスにブスと言っても、
セクハラ、パラハラ。
出産など個人の性に関することなど、口に出すのも、もっての他だという風潮。

ああ、しちめんどくさい、キュウクツだ、と思う。


こういうのを忖度社会というのだよ。

相手を傷つけまい傷つけまいとして、いつのまにか自分が傷ついているのだよ。







本音を言ったら叩かれる、という風潮はいやだな。
結婚、出産、性に関する事を自由に口に出せないのは、
お互い、みんな、得難い情報を得られずに、損していると思う。

性は一人一人、皆、特異なもので、
誰一人として同じではなく、
誰もが正解なのだし、
お互いを傷つけようとして話しをするわけではない。
本音で語って傷つくこともあるまいに。

そうかと思うと、
夫婦のセックス事情を赤裸々に本に書いちゃう人がいて、
バカ売れして話題になったり。


人と話すことには傷つくけれど、
本にして公表することには傷つかない、
という世間との距離感の持ち方が、
今ひとつ私には理解ができないなあ。
(匿名で語れば何も怖くない、というのはわかるけど・・)


Template Designed by DW99